アシュアード リカバリの概要
アシュアード リカバリ オプションにより、レプリカ サーバでのデータ回復可能性について、ユーザが意識することなく完全なテストを実行することができます。テスト対象のレプリカ サーバは、実稼動サーバがダウンした場合に引き継ぐサーバです。アシュアード リカバリ オプションは、レプリカ サーバをアクティブ サーバに切り替えて引き続き稼動させる際に必要となる実際のサーバ、アプリケーション、およびアクションを実際にテストできるオプションです。
アシュアード リカバリ テストは、データベース サービスを起動し、データの整合性を検証するために必要なすべての操作を実行することによって行われます。これらはすべて、再同期を実行する必要なしに実行され、本稼働サーバの可用性、またはレプリケーションとハイ アベイラビリティ(HA) システムが提供すべき安全性に影響を与えたりすることもありません。
テストの間、マスタで引き続き行われるデータの変更はレプリカに送信されますが、すぐには適用されません。代わりに、これらの変更はスプールに蓄積され、テストが完了したときにのみレプリカ データに適用されます。スプーリングはレプリカで行われるため、テスト処理の間にマスタで何らかの障害が発生したとしても、蓄積されたデータは失われません。
テストが終了すると、アシュアード リカバリ オプションは、レプリカで開始したアプリケーション サービスを停止します。次に、レプリカ サーバは、レプリケーションが一時停止してテストが開始されたときの厳密な状態まで自動的に逆戻りします。このように、スプールに蓄積された変更は、テストが行われなかったかのように適用されます。この時点以降、レプリケーションまたは HA シナリオは通常どおり続行されます。HA シナリオの場合は、テスト中にマスタで障害が発生した場合、スイッチオーバーが開始されます。
アシュアード リカバリ テストは、必要に応じて定期的に、完全に自動化して実行することができます。テストが完了すると、担当者にテストのステータスを通知したり、テストが正常に完了した際にはレプリカ データの VSS スナップショットを撮ったり、バックアップを作成するなど、追加のアクションを起動することができます。さらに、必要な場合には、非スケジュール モードでアシュアード リカバリ テストを実行することもできます。
アシュアード リカバリ テストは、すべてのサポートされているアプリケーションおよびデータベース サーバに適用できます。ただし、アシュアード リカバリ オプションはデータベース サービスをテストするものであるため、ファイル サーバおよび IIS サーバについてはデータベース サービスほどには適していません。それでも、特定のタスクでは、アシュアード リカバリ オプションをこれらのサーバで使用することができます。たとえば、毎日、毎週、または毎月数時間、定期的にレプリケーションを自動的に一時停止し、スクリプトをその間隔で実行したり、この一時停止を使用してレプリカで VSS スナップショットを作成することができます。決まったアプリケーションが存在するわけではないので、ファイル サーバおよび IIS サーバのデータのテストでは、追加のカスタム スクリプトが必要になります。
アシュアード リカバリ オプションは、コントロール サービス シナリオを除き、レプリケーションおよび HA ソリューションの両方をサポートします。しかし、最も適しているのは HA です。HA の場合は、データのみならず、テストが実行される実際のデータベース サーバがレプリカ サーバに導入されているためです。
注: アシュアード リカバリ オプションは、コントロール サービス シナリオには使用できません。
AR テストをレプリケーション シナリオの一部として使用する場合は、ルート ディレクトリ パスがマスタとレプリカで同じであることを確認する必要があります。さらに、レプリカにデータベース アプリケーションがインストールされていること、また、ファイル サーバをテストする場合にはレプリカでファイルが共有されていることが必要で、それらはマスタおよびレプリカで同一の設定となっていなければなりません。そうでなければ、AR テストの結果は意味がないものになってしまいます。