ネットワーク トラフィック リダイレクション
リダイレクションには以下の 4 つの方法があります。
- IP 移動
- DNS リダイレクト
- コンピュータ名の切り替え
- コンピュータ エイリアスの切り替え
サーバ タイプごとにユーザ定義スクリプトを指定する場合があります。
4 つのリダイレクション方式は、以下の表に基づいて使用します。
|
IP 移動 |
DNS リダイレクト |
コンピュータ名の切り替え |
エイリアス名の切り替え |
Microsoft Dynamics |
x |
○ |
○ |
○ |
ファイル サーバ |
○ |
○ |
○ |
○ |
フル システム HA |
x |
○ |
x |
x |
Exchange |
○ |
○ |
x |
○ |
Oracle |
○ |
○ |
x |
○ |
SQL |
○ |
○ |
○ |
○ |
IIS |
○ |
○ |
○ |
○ |
コントロール サービス |
x |
○ |
○ |
○ |
SharePoint |
○ |
○ |
○ |
○ |
VMware vCenter |
○ |
○ |
○ |
○ |
Hyper-V |
x |
○ |
x |
x |
注: コンピュータ エイリアス名では、Arcserve RHA は UNC アクセスをサポートします。
スイッチオーバーの発生後、マスタ サーバとレプリカ サーバの A レコードは、選択したネットワーク リダイレクション方式に応じて、DNS サーバ上で変更されます。以下の表は、ネットワーク リダイレクション方式と DNS A レコードとの関係を示しています。
- ネットワーク リダイレクション方式が「IP 移動」である場合、DNS A レコードには影響がありません。
- ネットワーク リダイレクション方式が「DNS リダイレクト」である場合、スイッチオーバー後にマスタの A レコードはレプリカ IP にリダイレクトされます。レプリカの A レコードは変わりません。
- ネットワーク リダイレクション方式が「コンピュータ名の切り替え」である場合、スイッチオーバー後にマスタの A レコードはマスタ-RHA に変わり、レプリカの A レコードはマスタに変わります。
- ネットワーク リダイレクション方式が「DNS リダイレクト」および「コンピュータ名の切り替え」である場合、結果は「DNS リダイレクト」のみを使用した場合と同じになります。
レプリカの A レコードを維持する必要がある場合は、「DNS リダイレクト」方式または「DNS リダイレクト」と「コンピュータ名の切り替え」方式を使用します。
IP 移動
スイッチオーバーの間、スイッチオーバー IP はアクティブ ホスト上で解放されてスタンバイ ホストに追加されます。このリダイレクト方法は、マスタ サーバとレプリカ サーバが同じ IP サブネット上にある場合にのみ適用できます。
[オフ]または[オン]を選択すると、[ping リクエストを送信]の[チェック方式]で使用可能なオプションが変わります。「Is Alive」を参照してください。
IP/マスクの追加
スイッチオーバー中にスタンバイ コンピュータへ移動するアクティブ コンピュータの IP を入力します。マスタ プロパティで定義されるマスタ IP アドレスは、ここで入力した IP とは別にする必要があります。
IP/マスクを追加する方法
- ツリー エントリ[ここをクリックすると新しい IP/マスクを追加します。]をクリックします。
- ダイアログ ボックスに、該当する IP/マスク データを入力し、[OK]をクリックします。
- 新しいエントリが一覧に追加され、別の IP/マスクのための新しい行が開きます。必要な数だけエントリを入力します。
- Notes:
[IP アドレス]ダイアログ ボックスが表示されます。
- [ホスト接続](シナリオ作成ウィザードで入力したマスタ IP)の下の[プロパティ]タブにあるマスタ IP アドレスは、この一覧に記載された IP アドレスにすることはできません。
- [IP 移動]または[DNS リダイレクト]プロパティが[オン]に設定されている場合、Arcserve RHA ではマスタの動的 DNS 登録がオフになります。([TCP/IP 詳細設定]ダイアログ ボックスの[この接続のアドレスを DNS に登録する]チェックボックスがオフになります)。
DNS リダイレクト
スイッチオーバー中に、マスタの A レコードが更新されます。このリダイレクション オプションは、マスタとレプリカの IP サブネットが別の場合も、同じ場合も適用できます。
[IP 移動]または[DNS リダイレクト]プロパティが[オン]に設定されている場合、Arcserve RHA ではマスタの動的 DNS 登録がオフになります。([TCP/IP 詳細設定]ダイアログ ボックスの[この接続のアドレスを DNS に登録する]チェックボックスがオフになります)。
DNS サーバ IP
更新する DNS サーバの IP を入力します。Arcserve RHA は、一覧にあるすべてのサーバを更新しようとします。しかし、いずれか 1 つの更新が成功しただけで、スイッチオーバーは成功したと見なされます。
値を入力するには、ツリーの「ここをクリックすると新しい IP を追加します」というエントリをクリックします。
DNS TTL
DNS TTL の秒数を入力します。この値は A レコードが更新される DNS サーバ上で変更されます。
Active Directory 統合
DNS が Active Directory 統合であるかどうかを指定します。マスタ DNS が Windows プラットフォームにあり、Active Directory と統合されている場合は、このオプションを[オン]にします。
DNS キー ファイル名(完全パス)
DNS セキュア キーを含むファイルの完全パスです。このフィールドは AD 統合が[オフ]の場合のみ表示されます。
DNS サーバ内マスタ/レプリカ IP
DNS サーバ内のマスタ/レプリカ IP アドレスを入力します。
マスタの DNS レコードは各スイッチオーバー中に更新されます。マスタからレプリカへのスイッチオーバーで、マスタの DNS レコードのアドレスはレプリカのアドレスによって置き換えられます。レプリカからマスタへのスイッチバックで、アドレスは元の値に戻ります。
値を入力するには、ツリーの「ここをクリックすると新しい IP を追加します」というエントリをクリックします。
コンピュータ名の切り替え
このリダイレクション オプションは、マスタとの接続に NetBIOS 名前解決を使用する場合に適用できます。ホスト名と NetBIOS 名が異なる場合は、このオプションを使用できません。
スイッチオーバーの間に、レプリカ コンピュータの名前はマスタ コンピュータの名前に変更され、マスタ コンピュータは一時的な名前に変更されます(マスタ サーバが稼動している場合)。スイッチバックの間に、名前は元に戻ります。ホスト名と NetBIOS 名は変更されます。Active Directory 環境でコンピュータ名の切り替えリダイレクションが有効になっている場合は、マスタとレプリカの両方のサーバが同じドメインまたは信頼できるドメインのメンバである必要があります。
重要:クライアントがマスタ サーバ名を使用して接続されているファイル共有をリダイレクトする場合は、[コンピュータ名の切り替え]を有効にする必要があります。たとえば、マスタ サーバの名前が fs01 で、クライアントが \\fs01\sharename または \\fs01.domain.com\sharename に接続している場合は、コンピュータ名の切り替え方式を使用する必要があります。また、もう一方の方式も有効にしておくことをお勧めします。DNS リダイレクションとコンピュータ名の切り替えリダイレクションの両方を使用するのが一般的です。
Windows 2008 および Windows 2008 R2 システムで、コンピュータ名の切り替えリダイレクション方法を使用する場合は、スイッチオーバーおよびスイッチバック後に再起動する必要があります。システムが再起動するまでリバース シナリオを実行することはできません。これは、再起動が完了するまでコンピュータ名の切り替えが有効にならないためです。この方法を使用する場合は[スイッチオーバーおよびスイッチバック後に再起動]プロパティを[オン]に設定することをお勧めします。
マスタ コンピュータ名
マスタ コンピュータの NetBIOS 名です。この名前はここでは変更できません。
レプリカ コンピュータ名
レプリカ コンピュータの NetBIOS 名です。この名前はここでは変更できません。
スイッチオーバーおよびスイッチバック後に再起動
このオプションが[オン]に設定されている場合、スイッチオーバーおよびスイッチバック後に、マスタ コンピュータとレプリカ コンピュータの両方が再起動されます。
コンピュータ名のエイリアスを使用
スイッチオーバーの後、元のレプリカのコンピュータ名は変更されません。代わりに、レプリカはマスタ ホスト名をエイリアスとして使用するため、再起動は必要ありません。このオプションを[オン]に設定した場合、[DNS リダイレクト]プロパティも[オン]にすることをお勧めします。
ユーザ定義スクリプト
このオプションを使用すると、ユーザ定義スクリプトによって呼び出されるアクションが実行され、標準のリダイレクト方式を強化したり置き換えたりすることができます。
重要:スクリプトを使用する場合、各スクリプトは、マスタとレプリカの両方で同じパスにあり、同じ名前が付けられている必要があります。
アクティブからスタンバイへのリダイレクション スクリプト
- スクリプト名
- アクティブなマシンが稼動している場合に、クライアントをスタンバイ マシンにリダイレクトしたり、またはアクティブ ホストでネットワーク リソースを解放するために、そのマシンで実行されるスクリプトの名前および完全パスを入力します。
- 引数
- 前のプロパティで指定したスクリプトに渡される引数です。引数の値は静的な値にする必要があります。
- 注: HA シナリオが実行を開始すると、アクティブからスタンバイへのリダイレクション スクリプトも自動的に実行されます。この段階では、スクリプトはスタンバイ レプリカで実行されます。
- スタンバイからアクティブへのリダイレクション スクリプト
- スクリプト名
- クライアントをスタンバイ ホストにリダイレクトしたり、またはネットワーク リソースを追加するために、スタンバイ ホストで実行されるスクリプトの名前および完全パスを入力します。
- 引数
- 前のプロパティで指定したスクリプトに渡される引数です。引数の値は静的な値にする必要があります。
ネットワーク トラフィック方向識別スクリプト
- カスタム リダイレクション方式を完全にサポートするために必要です。ここで入力されるカスタム スクリプトは、アクティブ サーバを識別するために使用されます。エンジンは次のようにみなします。
- ホストで実行されていたスクリプトが 0 を返す場合、ホストはアクティブです(すべてのネットワーク リソースがあるか、またはユーザがこのホストに指定されている)。
- スクリプトが 0 以外の値を返す場合、ホストは非アクティブです(ネットワーク リソースのすべてまたは一部がない、またはユーザがこのホストに指定されていない)。
- スクリプト名
- 実行するスクリプトの名前および完全パスを入力します。このスクリプトで、シナリオの開始時にフォワード シナリオを実行するか、バックワード シナリオを実行するかが決定されます。このスクリプトはマスタとレプリカの両方で実行されます。0 を返す方がアクティブです。両方が同じ値を返した場合は、競合が報告されます。
- 引数
- 前のプロパティで指定したスクリプトに渡される引数です。引数の値は静的な値にする必要があります。
コンピュータ エイリアスの切り替え
スイッチオーバー中に、エイリアス名はアクティブ ホストから解放されてスタンバイ ホストに追加されます。
- NetBIOS および DNS CNAME エイリアス名の両方がサポートされています。NetBIOS エイリアス名を追加するには、以下のレジストリ キーに「OptionalNames」という名前の複数行文字列値を作成し、値のデータにエイリアス名を指定して、Server サービスを再起動します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\services\LanmanServer\Parameters
- 注: マスタ サーバがワークグループ サーバの場合、DNS エイリアス名によるスイッチオーバーはサポートできません。これは、ワークグループ サーバのユーザには DNS 情報にアクセスする権限がないためです。
エイリアス名
スイッチオーバー中にスタンバイ ホストへ移動されるアクティブ ホストのエイリアス名を入力します。
更新/追加/削除
デフォルトでは、エイリアス名は HA シナリオが作成されるときに自動設定されます。すべてのエイリアスまたは選択したエイリアスを追加および削除できます。
シナリオの作成後、ご使用の環境に新しいエイリアスを追加することもできます。この新しいエイリアスを有効にするには、[リフレッシュ]ボタンをクリックして HA プロパティを再ロードします。