Arcserve Backup の実装 › ストレージ環境の計画 › データ転送の要件 › 代替データ パスに関する考慮事項 › ネットワークのセグメント化 › バックアップの対象範囲
バックアップの対象範囲
データをセグメント化すると、バックアップ対象範囲が限定され、高いデータ転送速度の要件を若干低くすることができます。一般に、毎日変更されるデータは、それほど多いわけではありません。変更部分の保存のみでよい場合には、フル バックアップは不要です。
例:バックアップの対象範囲
毎日全データをバックアップしていても、1 日に変更されるデータが全体の 10% のみである場合、貴重なバックアップ時間の 90% を、すでにバックアップしてあるデータの保存に費やしていることになります。メディアの消費とバックアップ デバイスの消耗も考慮すると、フル バックアップは必要以上に経費のかかる計画になります。
これを、1週間に1回、データの半分以上が変更されてからすべてのデータをバックアップするという方法に変更すると、より合理的になります。この処理は、週末に実行することにより、より長いバックアップ期間を確保できます。毎日実行する処理では、変更箇所のみをバックアップします。このようにすると、バックアップを短時間で実行でき、メディアの節約にもなります。
Arcserve Backup では、オプションとして以下のバックアップ タイプを選択して、この問題に対処できます。
- フル バックアップ - データ変更とは無関係に、すべてのデータをバックアップします。
- 差分バックアップ - 最後に実行されたフル バックアップ ジョブ以降に変更されたファイルのみをバックアップします。
- 増分バックアップ - 前回のフル バックアップまたは増分バックアップ以降に変更されたファイルをバックアップします。
- 合成フル バックアップ - r16 以降の Windows Client Agent では、前回のフル バックアップ セッションとすべての増分セッションを合成してフル セッションを作成します。以前の増分セッションは必要ありません。
上記の、フル バックアップと部分バックアップをバランスよく組み合わせて実行すると非常に効果的です。データの各単位、各バージョンを1回ずつバックアップできると理想的です。そして、メディアと時間を浪費する不要な重複は最小限に抑えます。バックアップ方式を決めるときには、以下の点に注意します。
- フル バックアップでは、すべてのデータが一度にバックアップされます。フル バックアップでは、バックアップ時点のデータの完全で一貫性のある1つのバックアップ セッションが生成されます。またバックアップされたデータは、すべて単一の管理しやすいメディアに保存されます。しかし、フル バックアップだけに頼ったバックアップ計画は、通常は非効率的なものになります。これは、新しいデータがデータ セット全体に占める割合が一般的には少ないためです。フル バックアップでは、前回の処理で適切にバックアップされている多くのファイルも重複して保存されます。
ただし、短期間にデータの大部分が変更されるような、特殊な形式で運用する場合、フル バックアップだけを行うバックアップ計画が最適な選択肢になります。このような場合は、データの大部分が常に更新された状態になるので、フル バックアップだけを実行するバックアップ計画の方が、差分/増分処理と組み合わせた場合よりも、実際に不必要な複製が生成されにくいと言えます。
- 増分バックアップと差分バックアップでは、ネットワークの輻輳とメディアの浪費を避けることができます。 この方法は、既存のハードウェアと帯域幅に制限がある場合に便利な方法であり、バックアップの時間帯をユーザの業務時間に支障がないよう調整することもできます。増分バックアップと差分バックアップは、フル バックアップよりも処理が高速です。フル バックアップと次のフル バックアップの間に増分バックアップや差分バックアップを実行すると、前回のフル バックアップ以降に変更されたすべてのファイルがバックアップされるため、より最新のファイルがバックアップされることになります。この冗長性により、完全な復旧に必要なすべてのデータが最大 2 つのデータ セット(フル バックアップと最後の増分バックアップ)に保存されていることになり、リストア速度が向上します。
増分バックアップと差分バックアップは、データ セット全体の量に比べて、変更されるデータの量が少ない場合にのみ経済的な方法です。このような場合は、小容量のリムーバブル メディアに、変更されたデータを頻繁に保存できます。
- r16 以降の Windows Client Agent の場合のみ、合成フル バックアップによって、ネットワークの輻輳とメディアの浪費を避けることもできます。合成バックアップは、フル バックアップより処理が高速です。最初のリアル フル バックアップ(親)を実行した後、必要に応じて増分バックアップと合成フル バックアップをスケジュールします。合成フル バックアップでは、最初のフル バックアップとその後のすべての増分セッションが 1 つの合成フル セッションに合成されます。最後のフル セッションとすべての増分セッションが組み合わされているため、ファイルをリストアする必要がある場合は、合成フル バックアップを使用するだけで済みます。この冗長性により、完全な回復に必要なすべてのデータが 1 つのデータ セット(最後の合成フル バックアップ)に保存されていることになり、リストア速度が向上します。
Copyright © 2017 .
All rights reserved.
|
|